嫁の愚痴

2009年3月21日 (土)

夏来るまへに

もうすぐ四月で、一年契約だった今の職場での仕事がおわる。

死刑判決がでている囚人のブログが話題になっているらしいが( ここ )
春。もうすぐ去らなければならない者が見れば、世の中はこんなに美しく、いとおしいものかと。

・・年齢上、正規職になることは不可能で、正規の方が来るまでのつなぎだと最初から納得しての就職だったけど、無職でいるよりいいや、と思って働きだした。
このご時世、どうにも使えない私なのに、働けるだけで幸せ、と。
一昨年はじめて十数年ぶりに社会復帰、至らないながら一生懸命で、若い人やベテランやらの間で、まっさらな心で働いた。

一年がんばってやってきて、でもやっぱり「つなぎ」にすぎなかったんだなぁ、ってあらためて思い知らされて。

職場のみなさん、一年で使ひ捨てられるだけのわたしとわかってゐながら本当に親切に、やさしくしてくださってありがたう。みほおはとてもしあわせでござゐましたみんなと働けて。みなさんがとても良いひとばかりだつたのでついつい錯覚してしまひいつまでも一緒にゐたいなと。一緒にゐれたら幸せなのにと思ってしまひました。でも一緒にゐたかったですほんたうにとここで書いても仕方ないんですけれどそうですけれど。

わかっていたけれど。
一生懸命やりすぎるひと。派遣先に情をもってしまうひと。
そういうひとは派遣にむいてないって聞いた。
わたしは派遣じゃないけれど、不安定な身分なのはおんなじで。
そうだよね。むいてなかったんだよね。
・・割り切れなくって、当然だよね。

しかたないだろ、そうなんだから。
しかたない。しかたない。
正規職につけないのも不安定な身分なのも。
しかたないわたしなんだ。
・・って思うのはつらい。

きのふけふけんもほろろの雉のこゑ聞きしかな履歴問ふ社会にて  永井陽子『小さなヴァイオリンが欲しくて』

今の職場の上司の方が一生懸命になって次の仕事場をさがしてくださった。ほんと、どこまでも親切でやさしいひとなんだ、上司の方も(男だが実はかなりコアな宝塚ファンだった、って先日知った)。
で、先日面接にいってきた。
ここでも一年でバイバイか。
そう思ったら行きたくない面接だったけど、そういうわけにはいかず・・
いろんな意味で、つらい。

ゆめのなかには霧がながれてゐたるかな夢よりもなほ遠くへゆきたし 永井陽子『〃』
いまいちどすず風のやうな歌書かむ書かば死ぬらむ夏来るまへに 永井陽子『〃』

今日、夫の家のお墓参り。
お墓のうしろにまわってびっくり。建立者として舅と姑と夫の名前が彫ってある。
「ずるい。僕の名前がない」
と次男。いやそういうはなしじゃないだろ。お母さんは仲間はずれってことでしょ。
って言ってやると、おかあさんはこの家の者じゃないから。おかあさんは誇り高き栄光のハプスブルグ家の娘だから、と。なんですかそれ。
・・それよりなんだ、今まで気付かなかったってことじゃん、と次男。
「今まで気付かなかったのね、おほほほ」
桜や梅や木蓮や。
春の花々の花の影で、亡きお姑さんが笑っている気がしました(棒読み

帰り、夫と海沿いのホテルで夕食。「死者の書」さながら、春分の日没を堪能する。


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2008年1月13日 (日)

ぐちぐち×93

・・事務に年休の手続きをしに行ったついでに介護休業のことをたずねてみると、やっぱ諸般の都合により私には適応できないとのこと。わかってたし仕方ないにしても、やっぱりやりきれない思いがふつふつと湧いてきてしまうのは困ったこと。
ついでに「労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒むことができる。」 条件ってのかな、そんなのついでに参考のためコピペしてあげとくね。

一 入社1年未満の従業員 二 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

・・なんだかねー。「入社1年未満の従業員」ってのがねー。
甘いっていわれるかもしれんのですけど、これって制度的にイカンと思うんですよ、わたし的には。
新人だろーがベテランだろーが、介護ってのは親とかが存命してるかぎり、いつ誰にふりかかってくるかわかんないシロモノですからねー。
年齢的にはベテラン、実は新人なわたしなんか考慮の外ってのはわかるんだけどねー(遠い目
だったら辞めてやるっ!ってきっぱりできないのがまたつらくってね・・(涙

ちなみに

労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。期間は通算して(のべ)93日までです。

ってことらしいのよ。

・・なにも堂々と大きな顔して休業の権利を行使するつもりなんかないんよ。
誰にも迷惑かけへんし、93日も欲しいっていわんから、たのむから少々、わけてほしいって思うだけなんよ。

とはいうものの。

そこんとこ事務のかたもわかってくださってるから「いざとなったら・・」っておはなしもしてくださったりして、あげく
「きっとまたいいことありますよ~」
って励ましてくださったりしてくださったり。
ほんと、ありがたい。

・・そうよね、なんだかんだいいながらでも健康で、働けて、こうやって愚痴が言えるだけでもしあわせ、かな。
こんな制度すらない時代だって、ちゃんとやってきた人だっているんだし・・
だいたい、本当においつめられてたら愚痴すらいえなくなるもんねマジで(力無い笑ひ

日が長くなってきたのかな。夕方5時にはすぽぽんと暗かったのに、ほんの少し明るさが続いている。
まだまだ暗い暗い季節だけれど・・
あとから思うと、なんであんなにくよくよしてたのかな、って思えるようになるのかな。

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2008年1月10日 (木)

ぼやぼや~

先日、残業をおえてへとへとになって職場から一時間ちょっとのマンションに帰ってみたらば、お舅さんがボヤをおこしたんですとなる夫からの電話。わたしがおいてきたお弁当をあたためようと、電子レンジに入れたつもりがトースターにいれちゃってたんですと。火はぼーぼーあがってたものの、ヘルパーさんがはっけんしてくれてすんでのところで助かったんですと。

いそいで荷造りして小鳥の籠持って舅さんの家に。そんでもってまた例のごとく、しばらく舅さんの家で起き伏すことになりそうで。
・・職場の事務の方に「介護休業」の適応についてたずねてみる。
「わかりません・・ちょっと勉強してきます」とのこと。
今までは多少のことは年休をやりくりしてきたが、いよいよこれから本気で何があるかわからない。だから駄目もとで聞いてみたのだが・・
前例なさそう、ってことはつまりは介護の片手間にしてもらう仕事ではないんですけどなにか、ということなんだろう。それは承知なんだが、せっかく20年ぶりに社会復帰した矢先にこれか、とつくづく運命を恨みたくなる。

とはいうものの。
今まで職場にいくまえに舅さんの一日の食事を用意していて、それがけっこう大変だったが、これからは危険だからということで全部ヘルパーさんに用意してもらうことになりそうで、それがちょっとだけラッキー。

先日の追突事故で壊れた車の修繕の間に、とレンタルした車が、今日とどいた。乗ってみたらハンドルがとても軽く、いろいろ面白い装置がついててとても楽しい。こびとさんが行き先の地図をひらいて矢印で教えてくれたり、魔法の鏡でうしろを見せてくれたり、鍵だっていちいちしめなくっても魔法で呪文をかけてくれてそれでOKなんだ(なんなんだ)
・・じめじめしたことが続いてて気がめいってたが、ちょっとだけ気がはれる。もちろんすぐに返却しなきゃなんないんだが、新しい魔法のジュウタンってのは、乗ってるとやっぱ珍しくってたのしい(意味不明


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2007年11月25日 (日)

ダム

先週、目を閉じれば浮かんだ映像は、ダムの決壊という、非常にわかりやすいシロモノ。
映像通り心身ともに限界だな、と思いながらだましだまし、日々をやりすごしてきた。
ぎりぎりの状態を楽しむなんて趣味はわたしにはないし、ましてやクリアできたことでそれがさらなる自信やささやかなよろこびを見出すというようには決してならなくて。
頑張っている自分を誇りに思う、なんて無理な夢物語で。

かかりつけのお医者さまに
あんまりつらいようだったら診断書、出しましょうか
と言っていただく。
でもそんなこと、できない。できるわけがない。
・・それにつらいのは仕事じゃない。

自分の心がどんどんきつくなっていく。
そんな自分も、今の状況も大嫌いで、誰かによって仕向けられたとしか思えない。
ムリしなくていいから。
ってなだめられつつ、結局いつも無理をさせられている自分の間抜けさかげんが、心底みじめでなさけない。

 


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2007年11月18日 (日)

さつき

介護の必要な舅ん家に来て、なんて言葉では簡単だけどいろいろもろもろすごく不便で大変で、主婦としてはものすごく納得しがたい気分な昨今。

とゆー毎日だったけど、ようやくこちらもPC使える環境ゲット。次男がさくさく接続してくれてこれを書いてる。

定住の家をもたねば朝に夜にシシリイの薔薇やマジョルカの花 斉藤 史

今日はこっち、明日はどっち、って子供に着替えと学校のかばんだけ持たせてさすらっているような生活。
気分はなんちゃってシシリイの薔薇やマジョルカの花なんだけど、定住の家がないこんな生活、ぜったいマトモじゃない。
それでも季節はめぐり薔薇たちは次からつぎからこぼれるように咲いてくれている。
・・H市のおうちにお留守番で置いてた40鉢とかゆー薔薇たちをえっちらおっちら一鉢づつ、田舎の舅の家に運んだ甲斐あってか今満開。
舅の家は純然たる日本庭園で、だから薔薇たちは完全にミスマッチなんだが、それぐらいの嫌がらせなんかで罰、あたらんだろし^^;

仕事から疲れて、月明かりなんかで照らされた庭の薔薇たちの間を通って帰ると、なんだかほっとする。

・・ところがお舅さん。
どうやらこの薔薇に興味津々らしく、鉢の場所がかわってたのに気づいたのが最初。
土をかじってたり、枝を剪定してたり。
おおきなつぼみのついた枝を折ったり。

「そんなことをされては困る」
と夫に抗議したのだが、それぐらいいいじゃないか、の答えに怒りばくはつ。

それぐらい、の言葉って便利よね。
どんなに本人はつらくっても、とりあえずそれで丸めこめるっていうか、大事な薔薇をばさばさ伐りまくられて、挙句「それぐらい気にすんなよ」で以下終了。

・・痴呆が出だしたらしく、わたしの薔薇のことを自分の皐月〈さつき〉と思い込んでいるらしい。
皐月がよく咲いてるなあ、と。
だから剪定するのはわかるけど、仕方ないのもわかるけど。

こちらの方は毎朝ものすごい霧が出る。
霧にむせるような夜明けのころ、薔薇たちはそれぞれ露に重く濡れ、
冬ちかきころ、春のころよりいっそう色あざやかに、咲く。


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2007年11月11日 (日)

負い組

負け犬、って言葉があって、でも全然負けてなんかいなくって、傍から見てるとかえって余裕って感じもするけれど、
負け組、って言葉があって、これはちいっとばかし可愛そうで、いや、可哀相。

負い組、ってのはなんだかね、詳細は省略ながら以下つまり、いっつも周囲に重荷を背負わされてるって感じの人って意味で、今朝思いついた言葉なんだけどね。
Googleで調べてみたけどそんな言葉、なくってね、つまり新語ってかんじかしら。
将来広辞苑に載りでもしたらどうぢよう。うれしいかも。

以下省略ながらといいながらありていに申し上げちゃいますと、介護が待ってる舅ん家にどうにも帰りたくなくって、本当は早朝にでも帰宅しなくちゃなんねえんだけど、亭主を帰して、こっちの家で、フケてるところ。

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2007年11月10日 (土)

どろどろ

・・実はこの秋9月に舅が倒れ→入院→退院ということに。そんでもって要介護認定。
介護してくれ。
ってことになり、でもそんなあんまりな。

仕事大変だしへとへとだし、第一、家はどうするの?
一時的に家族全員で舅さんの家に引っ越して、って、それっていつまで? 

いつまで?
いつまで?
・・たずねても答えはでない。以来ヘルパーさんたちに助けていただきながら介護な日々@休みなし地獄 に。


・・今ひさしぶりで家にもどってこれを書いている。
窓をあけたら城が見える、眺めのいい部屋。
大好きな家具に囲まれた、やっとの思いで手に入れた、部屋。

今夜こちらに泊まって、明日薔薇たちにお水をやって。
そしてまた帰らなければならない。

小沢さんは「やめるのやめる」ってことになったけれど。

あーやだやだ。なにもかも投げ出したいよ。


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2007年8月21日 (火)

74

・・円満退職したハズの極短期なお仕事先からもいちど来てくれ、期間は延長、待遇も前回のような非常勤ではなくってボーナスも出すから、というお話がきたんだけど・・自分の心身にじっくり相談してみた結果
「きつすぎる。逃げた方がベスト」
という結論に達し、バチあたりながら丁重にお断りする一方、いつまでもぶらぶらしてるから魔がさすんだと一念発起、ハローワークでお仕事探しにふけるものの。
・・先日の日曜日。五時過ぎ。おりしも大雨洪水雷警報のさなかに鳴った一本の電話につい、でてしまい。
「来てくださるんですね・ありがとうございます」
いやそんなこと、断固として言ってないし。
と抵抗するものの、雷のため電波の具合が混線模様で。
なんだかんだ押し切られ、もとの木阿弥になる。

短期間ながら働いてみてこの業種、自分に向いてないなってつくづく、思ってたんです。
でもどうしたらいいのかよくわかんなくって、通ってるお寺の庵主さんに易で占ってもらって、
「地澤臨」「地水師」って結果になったそうで、だからどうだって私には訳、わかんないんだけど。
「向いてますよ。お続けなさい」
って託宣がくだって、でもやっぱり嫌で。

今日これから健康診断とかあって、それから役場にも住民票とかとりにいかなきゃなんないらしく。

・・仕事場、実は以前住んでた村なんですよね。
そんでもって、訳あって出てきた旧宅の3軒先みたいなとこにあるんですよね。

という訳で、なんでこれだけ必死になって嫌がってるのに、こんなことになるんだろう。
ってガックリきてたら、折から開いた桃尻語訳・枕草子「74段」に

ガックリ来たもん。

自分から思い立って宮仕えに出てきた女がユーウツになってうとおしそうに考えこんでるの。

ってあって。
まんま、自分のことだわって友人に愚痴ったら、
「逃げても逃げてもムダってやつよ。それはね、誰かにきっと、招かれてるからなのよ」
って笑うばかりなんだけど。

・・なんか、果てしなく欝。


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2007年5月14日 (月)

親学/愛の悩み

昨日は母の日だったが・・

4月25日に政府の教育再生会議(野依良治座長)で、子育ての指針といわれる「親学(おやがく)」に関する緊急提言の概要がまとまるも、結局速攻でお流れになっちゃったわけだが。

提言の内容、なるほどいいことばっかりなのね。
でも
「教育なんたら委員会でいってたこともできないの? んまぁ~~!! 最低の親ね!!」
とかお姑さんとかにお上から言われたりしたらぜったい耐えられない、ってことばかり。
それのせいかしら。このイラストのおかあさんの表情、暗すぎw

20070510

・・私自身テレビ漬けだったし母乳も足りなかったらしいしテレビの主題歌が子守歌だったし抱きしめられたりほめられたりしたおぼえもあんまりないし、だいいいち自尊心なんてもたないほうが美徳って育てられ方だった。
うそはダメ、って項目もあるけど、それで押さえつけるというかがんじがらめにするってのはアレだし、許容量ゼロの、生きるのがつらくなるような正直さって、ダメでしょ?

だからわたしってダメ人間なんだって親のせいにしちゃいけないのはわかってるけど。
極論、自分の親ってばつまり親学落第者だったんかい。親学落第者の失敗作が自分なんかい。失敗作のわたしに子育てなんかできない。こんなの息がつまる、子供産まない→少子化加速。ってスパイラル決定。

かの子かの子(以上傍点)はや泣きやめて淋しげに添ひ臥す雛に子守歌せよ 岡本かの子『愛のなやみ』

・・子育て真っ最中でいっぱいいっぱいだったころ、ナルシズム全開みたようなこの歌に救われた。
親だって泣いてもいい。淋しくってもいいんだ。
自分にむかって子守歌を歌うってのも、あってもいい。
この短歌にうたわれている親子は抱き合ってはいない。
だいたい親鳥は「雛」を抱くことはできない。
でも、それでもいいんだ。

もう見られない!?「親学」提言のポイント(毎日新聞)
(1)子守歌を聞かせ、母乳で育児
(2)授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない
(3)早寝早起き朝ごはんの励行
(4)PTAに父親も参加。子どもと対話し教科書にも目を通す
(5)インターネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の実施
(6)企業は授乳休憩で母親を守る
(7)親子でテレビではなく演劇などの芸術を鑑賞
(8)乳幼児健診などに合わせて自治体が「親学」講座を実施
(9)遊び場確保に道路を一時開放
(10)幼児段階であいさつなど基本の徳目、思春期前までに社会性を持つ徳目を習得させる
(11)思春期からは自尊心が低下しないよう努める

・・(11)の自尊心の扱いはなかなかナイスだとおもうけど、
自尊心ってのが根拠のない変な愛国心やらナショナリズムに応用されないかどうか。いえちょっとした老婆心。
「ウソはだめ」ってのも国家に言われれば、そこはかとなく行く先某相互監視国家のにおひがする気がするのは何故。

だいたいケータイやらインターネットが「世界中の悪と直接つながる」だなんて、どこの秘密結社「鷹の爪」なん?(マイナーすぎ

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2007年4月30日 (月)

蟷螂殺人事件

なんとか薔薇の咲いているのを剪ってそのあと、手から薔薇の匂いがとれない。
何度洗っても手から匂いがとれないなんて、気分はなんちゃってマクベス夫人ではあるが。

疲れて塚本邦雄『茂吉秀歌百首』([霜][小園][白き山][つきかげ])なんぞを開いてて・・
蟷螂(かまきり)についての塚本の書くえぐいはなしにダメージをうける。ひとりでショックをうけても腹がたつので読めばもろとも、引用する。

地方によっては、この虫を有毒として忌み嫌ふ。伝へるところによると、さる山村の家庭で一家心中事件あり、炉端にある大鍋の雑炊を調べたところ、数匹の蟷螂の屍骸を発見した。妻女が宿怨の姑と夫と先妻の子を謀殺し、みづからも命を絶つた毒は、この昆虫のものである。(講談社学術文庫 p117)

・・・。
ただの都市伝説ならぬ山村伝説とはおもうけれど。

まあわたしだってさる山村に住まわされていた頃には
「いかなる前世の宿業あって、このような思いをせねばならないのか」
と何度も思ったことがあったので、この事件の首謀者というひとの「宿怨」のほどもわからないわけでもないのだが。
憎い奴ばらはともかく、蟷螂鍋をみづからも食らって死ぬくらいならほかにも手立てはなかったのかいと小一時間ほど説得してやりたい気もする。

しかしこの、塚本の紹介する殺人事件。ほんまに蟷螂鍋で人が死ぬのかいと思ってたらそのあとすぐ、

分析の結果はつひに不詳であつたが、症状は青酸中毒に酷似してゐた。

・・。

・・というわけで調べてみた。

カマキリの薬効 ここ

↓おまけ

シアン(青酸)中毒、症状と治療
7/28 メルク・マニュアルより

症状
瀕脈、頭痛、傾眠、低血圧、昏睡、けいれん、死
静脈血が明赤色になる
非常に急速な死(1から15分)

治療
迅速さが不可欠。吸入した場合は源を取り除く
直ちに嘔吐または洗浄、亜硝酸アミルを0.2ml(1アンプル)毎分ごとに30秒間吸入、100%酸素、呼吸補助
10mL 3%亜硝酸ナトリウムを2.5から5mL/分 静注、(小児には、10mg/kg)、その後25から50mL 25%チオ硫酸ナトリウムを2.5から5mL/分で静注。症状が再発したときは、上記を繰り返す。リリー社製シアン化物キット(Lilly cyanide kit)を使う    ここ

・・合掌。

+おまけ 1+

わが父母をあしざまに言ひしこともなき妻と思ひていまともに老ゆ 佐藤佐太郎『開冬』(S50)

+おまけ 2+

与謝野晶子が紹介する姑殺人未遂事件 ここ
その続編 ここ

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