夏来るまへに
もうすぐ四月で、一年契約だった今の職場での仕事がおわる。
死刑判決がでている囚人のブログが話題になっているらしいが( ここ )
春。もうすぐ去らなければならない者が見れば、世の中はこんなに美しく、いとおしいものかと。
・・年齢上、正規職になることは不可能で、正規の方が来るまでのつなぎだと最初から納得しての就職だったけど、無職でいるよりいいや、と思って働きだした。
このご時世、どうにも使えない私なのに、働けるだけで幸せ、と。
一昨年はじめて十数年ぶりに社会復帰、至らないながら一生懸命で、若い人やベテランやらの間で、まっさらな心で働いた。
一年がんばってやってきて、でもやっぱり「つなぎ」にすぎなかったんだなぁ、ってあらためて思い知らされて。
職場のみなさん、一年で使ひ捨てられるだけのわたしとわかってゐながら本当に親切に、やさしくしてくださってありがたう。みほおはとてもしあわせでござゐましたみんなと働けて。みなさんがとても良いひとばかりだつたのでついつい錯覚してしまひいつまでも一緒にゐたいなと。一緒にゐれたら幸せなのにと思ってしまひました。でも一緒にゐたかったですほんたうにとここで書いても仕方ないんですけれどそうですけれど。
わかっていたけれど。
一生懸命やりすぎるひと。派遣先に情をもってしまうひと。
そういうひとは派遣にむいてないって聞いた。
わたしは派遣じゃないけれど、不安定な身分なのはおんなじで。
そうだよね。むいてなかったんだよね。
・・割り切れなくって、当然だよね。
しかたないだろ、そうなんだから。
しかたない。しかたない。
正規職につけないのも不安定な身分なのも。
しかたないわたしなんだ。
・・って思うのはつらい。
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きのふけふけんもほろろの雉のこゑ聞きしかな履歴問ふ社会にて 永井陽子『小さなヴァイオリンが欲しくて』
今の職場の上司の方が一生懸命になって次の仕事場をさがしてくださった。ほんと、どこまでも親切でやさしいひとなんだ、上司の方も(男だが実はかなりコアな宝塚ファンだった、って先日知った)。
で、先日面接にいってきた。
ここでも一年でバイバイか。
そう思ったら行きたくない面接だったけど、そういうわけにはいかず・・
いろんな意味で、つらい。
ゆめのなかには霧がながれてゐたるかな夢よりもなほ遠くへゆきたし 永井陽子『〃』
いまいちどすず風のやうな歌書かむ書かば死ぬらむ夏来るまへに 永井陽子『〃』
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今日、夫の家のお墓参り。
お墓のうしろにまわってびっくり。建立者として舅と姑と夫の名前が彫ってある。
「ずるい。僕の名前がない」
と次男。いやそういうはなしじゃないだろ。お母さんは仲間はずれってことでしょ。
って言ってやると、おかあさんはこの家の者じゃないから。おかあさんは誇り高き栄光のハプスブルグ家の娘だから、と。なんですかそれ。
・・それよりなんだ、今まで気付かなかったってことじゃん、と次男。
「今まで気付かなかったのね、おほほほ」
桜や梅や木蓮や。
春の花々の花の影で、亡きお姑さんが笑っている気がしました(棒読み
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帰り、夫と海沿いのホテルで夕食。「死者の書」さながら、春分の日没を堪能する。
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