« デザインかえました。 | トップページ | 秋のはじめの猫の階段 »

2004年9月24日 (金)

お彼岸に読む本

「もう、世の人の心は賢くなり過ぎて居た。独り語りの物語りなどに、信(しん)をうちこんで聴く者のある筈はなかつた。」
(折口信夫『死者の書』/昭和14年初出 )

・・わたしは賢くなどなくなってしまったが、信をうちこんで物語を聴くということもなくなってしまっている。
おなじく、本を読むことも少なくなってしまった。
そのかわり、むかし読んだ書物のなかから、そのくだりの一行がひとすじの煙のようにたちのぼっては、記憶のむこうからわたしに問いかけてくることがある。
それはひそかに、まえぶれもなくわたしを訪れ、その本を読んだときに片思いをしていた男の子のことや、好きだった図書館の奥の暗がりや、その冷気を、わたしに思い出させる。

+++

お彼岸はドライブに行った。
太陽にむかって、東へ。
そして、天空を渡る太陽を、さらに追って、西へ。

まるでなにかを思ひつめ、何かに誘(オビ)かれたようになつて、大空の日(ヒ)を追うて歩いた人たちがあつた。

そんな一節を、むかし、読んだ。
出かける前に書棚をひっくり返し、その一節(『山越しの阿弥陀の画因』)が収録されている本を探し出した。
『死者の書』という題からしてまがまがしいものがあるが、古めかしい活字、旧かなのその不思議な物語は、「明治以降の日本近代小説の、最高の成果である」といわれた。
だが、若いころに読んだその本のあらすじを思い出そうとしても、なにやら曖昧模糊として思い出すことができない。
しかしその物語にはたして、厳密なあらすじなどあったものか、どうか。
・・黄昏どきに蜘蛛のつむぐなにかの夢、古い時代の書物のページを捲る風のようなものではなかったか。

時々雨がふったりする、おちつかないいちにち。
西に東に、どこまで彼岸花の咲く道を走りながら、一冊の本をひざに、運転席のとなりでうつらうつらとしてすごした。

(眠り猫のmaukieが書きました) ←うそだにゃ~/笑

|

« デザインかえました。 | トップページ | 秋のはじめの猫の階段 »

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの記事

短歌・俳句」カテゴリの記事

本と雑誌」カテゴリの記事

コメント

指を切る少女架刑の貸出票その痛みさえ恋というなら

折口信夫を少し前までノブオと読んでいたのは秘密です。久世光彦をミツヒコって読んでいたりとか。

投稿: 佐山 | 2004年9月25日 (土) 00時34分

佐山さま~☆

>指を切る少女架刑の貸出票その痛みさえ恋というなら

ありがとうございます。今朝の寝起きにすばらしいお歌を拝見させていただきました。

そう! 絶滅危惧種にして、真の知の文化遺産たる、あのすばらしい「貸出票」!
・・やっぱり図書館はこうでなくっちゃあ、なんていっても、おらが村の図書室は、まだシステム導入されてないだけだけど (誤爆

>折口信夫を少し前までノブオと読んでいた

あ・・これは、ある意味ただしいんですよ。
本当は、小さい頃は「のぶお」といわれてたそうですから。「しのぶ」にこだわった理由の背景には、複雑な家族関係があるみたいです。

わたしなんか、さいきんまで釈迢空(しゃく ちょうくう)というペンネームの「迢空」をマジで「超空」と間違ってました。でへへ。

折口のペンネームについて
http://66.102.7.104/search?q=cache:imy_BwTvlwwJ:www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/pen-name/a.html+%E6%8A%98%E5%8F%A3%E4%BF%A1%E5%A4%AB+%E3%81%AE%E3%81%B6%E3%81%8A&hl=ja" rel="nofollow">http://66.102.7.104/search?q=cache:imy_BwTvlwwJ:www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/pen-name/a.html+%E6%8A%98%E5%8F%A3%E4%BF%A1%E5%A4%AB+%E3%81%AE%E3%81%B6%E3%81%8A&hl=ja
・・あれっ。こちらもマジで超空にしてる。わたしと同じだ (えへへ

投稿: 美頬 | 2004年9月25日 (土) 08時14分

あの~、”光彦”さんはなんと呼ぶのでしょうか??

投稿: seurat | 2004年9月25日 (土) 11時41分

seuratさま~☆

久世光彦は(くぜてるひこ)とよむらしいです~
重箱読みですね~ ←?
わたしも最近しったよ!
というか、今も(みつひこ)ってよんでたりしてます (すみません

「テル」というのは、あと、「宮本輝」って作家もいますね~

投稿: 美頬 | 2004年9月25日 (土) 13時32分

なるほど、テルなんですね。
いやいや、佐山さんのコメント、意味すら理解できずにいたもので(涙)お手数おかけいたしました。

本を読む回数は本当に減りましたね。
私も最近はちょっとした小説くらいしか読めていません。
徹夜で読みふけった若かりし頃が懐かしいですね。あの頃はそのまま学校に行き、又授業中に読んだり、読書三昧でしたね。

投稿: seurat | 2004年9月25日 (土) 13時47分

seuratさま~☆

「光彦の謎」、解決されたようでよかったですね(^^)~♪
そういえば、名探偵・浅見光彦もどうやら(みつひこ)みたいだし~

>徹夜で読みふけった若かりし頃が懐かしいですね。

あら? seuratさまなんか、まだお若いのに・・

読書好きといったら、映画「ゴーストバスターズ」の冒頭、図書館に棲む幽霊。
なんだか、うらやましいな~、なんてむかしは思ったもんです /爆

投稿: 美頬 | 2004年9月25日 (土) 22時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: お彼岸に読む本:

« デザインかえました。 | トップページ | 秋のはじめの猫の階段 »